研ぎ出し・デカールの段差や余白消し
研ぎ出しとは、塗装面を平坦でキレイに仕上げる方法のことです。
基本的な方法は塗装面をクリアーでコートして、それを磨いていきます。
この要領でシールの厚みによる段差や余白も消すことができます。
いくら綺麗にシールを貼っても、シールには厚みによる段差や余白があり、
角度や光の加減によっては、それがけっこう目立つことがあります。
なにより、このようなシール跡はスケール感を損ねます。
シールの上からツヤ消しでトップコートしてツヤの調整をすれば、
かなり目立たなくなりますが、それでも、シールの厚みによる段差が無くなるわけではないので
完全に消し去ることは出来ません。
そこで、このシールの余白や段差を分からなくする方法です。
基本的な考えはこんな感じです。
シールの上から
クリアーを厚くコートして、それを削って平坦にします。
こうすることで、シールの厚みによる段差が無くなり余白も分からなくなります。
ただし、クリアーをただ厚く吹けば良いと言うわけでもありません。
クリアーがシールを侵す場合があるからです。
シールに沁み込んで、シワになったりヒビ割れたりします。
そこで、そうならない工夫が必要になります。
砂吹き。
これは最初に行う最も重要な作業で、
塗装面やシールへのクリアーの侵食を防ぐために行います。
エアブラシの距離を離しぎみでクリアーを軽く吹き付け、写真のように、
塗料の粒子がやや乾いた状態で届くようにして、乾燥したクリアー層を作ります。
これが何度か砂吹きした塗装面。
このようにザラついた状態になります。これが保護層となります。
そしてこのまま、完全に乾燥させます。
乾燥が悪いと、後々シールがヒビ割れたりするので完全に乾燥させる必要があります。
小さなシールだと1~2日も乾燥させれば大丈夫ですが
大きなシールだと1週間ぐらいは乾燥させた方がいいです。
乾燥が甘いと数か月後にヒビ割れたりすることもあります。
この砂吹きで塗装面が保護されるので、次のクリアーの侵食を防ぐことが出来るようになります。
乾燥が終わったらクリアーを吹き重ねていきます。
これも一度目→乾燥→2度目→乾燥→3度目というように乾燥させながら。
こうしてクリアーを吹き重ねることで、砂吹きのザラついた表面も平坦になっていきます。
これは4度吹き重ねた写真。このまま完全に乾燥させます。
ザラつきは少なくなりましたが、砂吹きした上にクリアーを重ねているので、
塗装面が波打っています。
慣れないうちは、これくらいはクリアーを吹き重ねて厚くしたほうが失敗も少ないです。
ただし、クリアーが厚くなりすぎるとキットのイメージも変わってくるので、
慣れてくれば、2~3度くらいにしてクリアー層を少し薄めにしていけばいいと思います。
中研ぎ。
乾燥したら、ヤスリで削って塗装面をより平坦で滑らかにします。
削りは、1200番前後ぐらいのペーパーで水研ぎ(水を付けて削る)をします。
消しゴムなどを当て木代わりにして余計な負荷をかけないようにして慎重に。
特に角部分は塗料が薄くなっているので無理をしてはダメです。
これが最も技術のいるところ。
失敗して下の塗料まで削ってしまったら、一旦中止して、その部分を塗装して
再度その部分にクリアーを吹いてから再開。
慣れない内はこの失敗は多いです。
いかに、上手く修正するかも大事。
水研ぎしたパーツ。削りカスはパーツを洗って落とします。
ヤスリで削ったので、ヤスリキズでツヤ消し状態になっています。
しかし、塗料の波打ち状態は無くなりました。
この状態でもほとんどシール跡は分からないです。
もう一度クリアーを吹きます。
水研ぎして、塗装面を平坦にした上からのクリアーなので
塗料の濃度さえ適切ならキレイな塗装面になります。
これでシールの余白や段差は分からなくなり、ヤスリキズも消えました。
写真はやや塗装面が荒れて見えますが、これはアップにしているからです。
これが実物大ぐらい。
実際はこれだけキレイな塗装面です。
ガンプラなら、これで十分と言えます。
他のモデルでも問題ないレベル。
しかし、さらなる完璧を望むなら次の工程に進みます。
目の細かいヤスリ(2000番以降ぐらい)で水研ぎをします。
これは4000番の耐水クロスで水研ぎしているところ。
これで、わずかな表面の波打ちを削っていきます。
最後に4000番のヤスリで出来たキズをコンパウンドで磨いて消していきます。
荒目→細め→仕上げ目というようにだんだんと目を小さくして
キズを消していきます。
今回は専用のクロスで磨きましたが、クロスでは難しい細かなところは
綿棒を使うといいです。
磨き終えたら
最後にパーツをキレイに洗って完成。
アップでもこんなにキレイになります。
ここまでやれば、どんな角度から見てもシールの余白や段差は完全に分からないです。
たしか、マクロスに痛系があるので、こんな感じで作って見るのもいいかも。
変形は不可になりますが。
航空機の状態にするか、ガウォークにするか、バトロイドで仕上げるか、それが問題。
これが実物大。
実はこのパーツは「筆塗で綺麗に塗る2」で使ったパーツです。
赤は筆塗りです。
管理人もまさかコレがここまでキレイに仕上がるとは思いませんでした。
研ぎ出しのクリアーはエアブラシですが、缶スプレーでも可能なのではなかろうか?
砂吹きなどの
微調整は難しいですが、そこは距離や小手先の技を駆使すれば
なんとかなりそうな気がします。
今度機会があれば試して見てもいいかも知れません。
たぶん、筆と缶スプレーでもこれに近いことは出来るんじゃないかな。
なお、ちょっとラメっぽくなっているのは、このパーツにクリアーを使う前に、
別のパーツでシルバーを使ったので、その塗料がカップに僅かに残っていた為です。
シルバーとかゴールドは基本的に粉なのでキレイに洗浄したつもりでも残っちゃうんですよね。
クリアーを使う前には金とか銀は使っちゃダメです。
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